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LA VIE EN ROSE

退院したら行こうと思っていたエディット・ピアフ ~愛の賛歌~を観てきました。
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ピアフの歌は何曲も知っていたのに、生い立ちや人となりは全く知らなかったんです。

幼いころの数奇な運命が彼女にもたらしたであろう、孤独への嫌悪と情緒の不安さ。

肉親の複雑な愛情からか、常に誰かを愛することを求め続けたその生涯。

マリオン・コティヤールが見事なまでにピアフになりきっていました。
ピアフ本人は身長142cmと小柄。かたやマリオンは170cm近いそうですが
まるでピアフのように小柄に見えたし、特に晩年のひとまわり以上小さくひ弱になった
40代なのにまるで老婆のようなピアフそのものでした。
特殊メイクを施したそうですが、たるんだアゴ、首筋のしわ、やつれた表情などお見事!

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豊かな声量と心を震わす歌声に、誰もが魅了されていったのでしょう。
はすっぱで品がなく、傲慢で尊大に振舞いながらも、周りは彼女を愛していたんですね。
彼女を見出した パパ・ルプレ が死ななかったら、彼女の人生はまた違っていたかも・・・。


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そんなピアフが、少女のようなハニカミを見せながら恋に落ちたマルセル。
幸せの絶頂からマルセルの悲報を聞き、取り乱したホテルの部屋から一転、舞台へ。
ここ、とても見事な演出でした。惜しむらくは「愛の賛歌」をフルコーラス聴きたかったなあ。
でも、副題が~愛の賛歌~なのは日本だけみたいで、他の国は LA VIE EN ROSE
ばら色の人生がタイトルなんですね。愛の賛歌にしちゃうから期待するんだわ。
マルセルが死ななかったら、ピアフの人生もまた別のものだったかもしれません。
パパ・ルプレとマルセル、この二人の死と引き換えに、ピアフは何を得たんだろう・・・。

映画はほんの一部ですが、ピアフは生涯、恋し続けたんですね。
恋をして歌を作り、名声と引き換えに恋を失う・・・。
「正直に生きられますか?」という問いかけには「そう生きてきたわ」と答える。
後悔していないと歌う「水に流して」 最期までステージに立つことを望んだ人生。

4回も交通事故で怪我をして、リウマチに悩まされ、薬に溺れていった晩年。
それでも後悔はないという強さと、ステージに立つのを怖がるガラスのような繊細な心。
パリに戻った亡骸に哀悼を捧げるため、ピアフを好きだった人もそうでない人も
みんなが街にでたために道路が遮断されたと聞きました。
今なおその歌声が愛され続けているのは、彼女の歌に対する揺るぎない愛情が
多くの人の心に届いたからなのでしょうね。

歩き方や話し方、歌うときの口のあけ方や息継ぎの仕方、何から何まで見事だった
マリオン・コティヤールの演技の素晴らしさ!ピアフの歌う名曲の数々!
深まった秋にふさわしい佳作でした。是非、未見の方はご覧になってください!
by british-green | 2007-10-16 23:22 | CINEMA