2013年 04月 10日
ライフ・オブ・パイ トラと漂流した227日
そんなに観ることを切望していた作品ではなかったのです。
ちょうど時間が合ったのと、監督がアン・リーだというので、それじゃあと観た作品。
アン・リーの「ブロークバック・マウンテン」は私の五指に入る作品なのです。
「ラスト・コーション」も良かったし、「いつか晴れた日に」もこの方の作品なんですね。
乗っていた貨物船が遭難し、1艘の救命ボートでトラと共に漂流するという
荒唐無稽な物語は、モントリオール在住の大人になったパイ・パテルを訪ねた
カナダ人ライターに語り始める形で始まります。
イルファン・カーンを初めて観たのは「その名にちなんで」でした。
「スラムドッグ・ミリオネア」や最近は「アメイジング・スパイダーマン」などの作品と
欧米の英語作品でも活躍中の素敵な俳優さん。
インドで動物園を経営していたパテル一家は、モントリオールに移り住むことになります。
一家と動物たちを乗せた貨物船は、嵐にあい沈没。かろうじて生き残ったのはパイ少年
そして数匹の動物たち。その中にはベンガルトラのリチャード・パーカーがいました。
わずかな非常食と水で太平洋に投げ出された少年パイ・パテル。
しかもボートにはトラという、絶体絶命的な状況を受け入れ、それに立ち向かい
想像を絶する過酷な227日もの日々を、様々な工夫と強靭な精神力で乗り越えます。
夢か幻かという体験を重ね、奇跡的にたどり着いた漂流生活の行きつく果てには・・・。
2Dで観たのですが、このクジラのシーンもものすっごく綺麗!!!
最初に登場の動物園の映像、植民地時代のインド街並み、トビウオが空を飛ぶシーン
ミーアキャットの島の美しさ、そして本物と見紛うほどのCGのベンガルトラ。
2Dでも充分美しい映像が、この神秘的な物語をいっそう摩訶不思議なものへと。
ものすごく深遠なテーマでした。前半、イスラム・仏教・キリスト教と、パイ少年が学んだ
複数の宗教が漂流生活の心の糧になったのでしょう。
この作品は特に、観た人に物語の真実がゆだねられます。答えはすごく難しい。
終盤、大人になったパイから語られる「もう一つの漂流記」にショックを受けました。
いまだアン・リーからの問いかけに答えは出ないけれど、観て本当に良かった作品です。
by british-green
| 2013-04-10 23:04
| CINEMA