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グラントリノ

観終わったときに、真っ先に思い浮かんだ言葉は 矜持 でした。
「プライド」ではなく「矜持」 幸せな結末ではないのに、悲しいだけではない涙があふれました。

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クリント・イーストウッド扮するウォルト・コワルスキー。これがまた、くそジジイでねえ(爆)
Fワードをすぐ口にするは、自分ちの庭に入っただけで銃を向けるは、やりたい放題(笑)

フォードに長年勤め、自分でステアリングを取り付けた「グラントリノ」が宝物。
最大の理解者であっただろう愛妻の葬儀から映画は始まります。
2人の息子たちと「今時の子供」である孫たちが気に入らなくて、唸っちゃたりするし(爆)
信心深かった妻と違い、新米神父には反抗的な態度をみせたり。

ひょんなことからお隣に越してきたラオスの少数民族モン族の家族との交流が始まります。
古き良きアメリカは遠く、周りは異民族ばかりになって孤立しているかに見えます。

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ところが美味しい食事に懐柔されちゃって(爆)言葉が通じなくても和気藹々(笑)
聡明な姉スーはやがて彼のお気に入りとなっていきます。
若い彼女らは一族のしきたりを尊重しつつ、新しい文化も考えも素直に受け入れていきます。
ウォルトがモン族に向ける眼差しが、だんだんと温かくなっていきます。

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弟タオにとって、やがてウォルトは父のような存在になっていきます。
この長年の友人の床屋のおっちゃんとの掛け合いも、絶妙の間合い。
そんな二人にからかわれたタオですが、すぐにやり返す賢さにウォルトも満足そう(笑)

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朝鮮戦争での苦い記憶が、彼を気難しい偏屈老人にさせるだけのトラウマを与えました。
根気よくこのくそジジイと付き合い心のうちを吐露させる神父は、最後まで寄り添います。
もう一人、ずっと寄り添っていたのが愛犬、ラブラドールのデイジーでした。
このコがまたお利巧さんでねぇ・・・。

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姉弟との友情が、本当の家族よりもウォルトには家族愛を味わう喜びを教えてくれたのでしょう。
そんな二人を傷つけた集団が許せなかったウォルトは、ある決断をします。
それは私が想像したものとは反対の行動でした。

身仕舞いを整え敵地に向かう姿に男の美学をみました。
そしてそれは人としての美学でもありました。くそジジイがめちゃめちゃカッコいい!!!
自分の人生をどのように終えるのか、心が震えるような佳作でした。
by british-green | 2009-06-07 23:58 | CINEMA