2008年 03月 06日
毒をもって毒を制す
2ヶ月半にも及ぶ手術入院、並行してもう2つの大きな出来事も経験しました。
1つは、ギリギリまで取り除いたリンパ節のせいで分断されてしまったリンパの再生。
行き所を失ってしまったリンパ液を体外に出すための管を入れ、繋がるのを待ちます。
この話は、またの機会に記事にしてみたいと思っています。
そしてもう1つ、現在まで続く抗がん剤治療の開始です。
術前に受けた動注治療も抗がん剤を使いましたが、あれは主に腫瘍を小さくするためでした。
術後に行うものは、手術で取りきれなかったであろう、目に見えないほどの小さな癌細胞を
叩きのめすため、再発を予防するためで、補助化学療法と呼ばれます。
市販されている薬を含め、薬と毒は表裏一体です。どんな薬にも副作用があり、それが強いと
薬は毒になり得るのです。毒をもって毒を制す・・・その最たるものが抗がん剤です。
婦人科の癌にはよくご存知の『子宮頸癌』『子宮体癌』『卵巣癌』などがあります。
その他聞き慣れない癌もたくさんありますが、この3つがよく耳にする物だと思います。
一口に抗がん剤といっても、癌によって効くものが違い、同じ癌でも人によって違います。
100人いたら100通りの抗がん剤があるということです。
薬を単品で使うことはなく、数種類を組み合わせて投与することが多いと思います。
手術よりも怖い・・・そう仰る方も少なくありません。毒と解っている物を身体に入れるのです。
異物の侵入に対して、身体は防御しようとします。それが副作用と呼ばれるものなんですね。
抗がん剤はあらゆる細胞を叩きます。癌細胞は死滅してしまいますが、正常な細胞は
3~4週間ほどで復活します。それで多くは1ヶ月に1度の抗がん剤投与となるわけです。
最近は患者さんのQOL(クオリティ・オブ・ライフ=生活の質)を高めるために
日帰りの抗がん剤投与が増えてきました。私の通う病院にも、その為の部屋があります。
副作用は、回を重ねるほど強く出るようです。いくら流しても、わずかずつ蓄積されます。
吐き気・嘔吐も、最初の頃は薬を入れてから3日目くらいに出始めたのですが
最近は薬を入れたその晩から始まります。吐きたくても吐けない、吐き気だけというのも
また、嘔吐も最後には吐く物もなくなり、胃液を吐き続ける、そのどちらも体力を消耗します。
匂いがダメで、食事は一切取れなくなります。無味無臭といわれる、水の匂いもダメです(涙)
何か少しでも食べられると、吐く時もすごく楽なんですけどね・・・。
入院中はこの、吐き気と嘔吐、そして倦怠感(身の置き所がないほど)や発熱など。
そして退院後もしばらくはそれらが、少し軽くはなりますが続きます。
味覚障害もでてきます。味がぼやける、苦味を感じる、人それぞれですが多いみたいです。
1ヶ月くらい経つと口内炎週間(苦笑)出来ては治りの繰り返しです。
そして女性にとっては一番の気がかり、脱毛も主な副作用の一つです。
髪をとかしたときに、かなりたくさんの抜け毛にビックリすることがあります。枕に落ちたり。
どの抗がん剤にもでる副作用ですが、薬によって顕著にでるものは違います。
タキサン系と呼ばれるタキソール・タキソテールという薬が脱毛が著しいようです。
風が吹いても頭が痛いと経験者から聞いてましたけど、ホントでした!もうピリピリ!!!
髪を触ると、筆が出来るほどの量が抜けます。歩いた後もかなりの量の抜け毛。
患者仲間でシャンプーしたときにあまりにもごっそりと抜け、お風呂場で号泣したという人も。
やはり女性には一番気になる副作用なんですね。
私は当時、肩に着くほどの長さのボブでした。生え際に沿ってまばらに、そう、ちょうど
後れ毛のように残りました。頭頂部もほんのわずかに残ったので粗いバーコード状態。
酷い人は、眉毛やマツゲまで抜けるそうですけど、私はそこまでは抜けませんでした。
入院中や自宅ではバンダナを被っていました。まだ半分くらい残っている時は外出は帽子。
抜けきってしまってからウィッグを買いました。
楽天さんからお借りしました。私が買ったのはこんな感じ(かなり近い!)
今はおしゃれ用としてのウィッグも多いので、いろいろ選べるし、違和感もないようです。
恥ずかしいから買いにいけないので、通販でという方も多いようですが
私の経験では、実際に頭に合わせて買うのがベスト。残っている髪の毛の量でフィット感が
違ってきます。お店の方も心得ていて、ちゃんと周りから見えないように試着させてくれます。
どうせなら、普段は(手入れが大変で)出来ないスタイルにしちゃえ~!とこんなのに。
お値段も数十万円もするようなのもありますけど、オシャレ感覚なら安いものをいくつか
というのもいいかもしれません。ちなみに私は15000円程でした。
近くのショッピングモールのコスメコーナーで買いましたが、「ご病気割引」というのがあって
10%くらい安くしてもらいました。いろいろ試着してみるのも楽しかったです!
私は後れ毛状に残っていたので、バンダナ姿もそれなりに格好がついてましたけど
気になる方は、着け毛のついた帽子やバンダナもあるみたいなのでどうでしょうか。
バンダナもコットンのミニスカーフもあるので、可愛い柄や色もたくさんあります。
入院中はパジャマを毎日買えるついでに、バンダナもパジャマに合わせた色や柄のものを
いろいろ変えて楽しんでいました。楽しくない日々は少しでも快適にしないとね!
抗がん剤については、また何度か記事にしてみます。
by british-green
| 2008-03-06 23:50
| 病院に行こう!