2014年 03月 03日
永遠の0
邦画で、久しぶりに号泣しました。
司法試験に落ち続け、人生の目標を失いかけた青年・佐伯健太郎(三浦春馬)と
フリーライターの姉・慶子(吹石一恵)は、祖母の葬儀で実の祖父だと思っていた
賢一郎(夏八木勲)と血の繋がりがないことを知ります。
実の祖父は、第二次世界大戦で特攻隊員だった宮部久蔵(岡田准一)。
久蔵のことを調べたいと賢一郎に申し出ると、快諾するどころか是非調べて欲しいと
懇願されます。祖母が荼毘に付される瞬間泣き崩れてしまうほど、深く愛していた
賢一郎と祖母、そして久蔵の間にどんな出来事があったのか・・・。
戦地からの一時帰国は、秘密保持から家族にも前もって知らされないのです。
たった1晩ですが、愛する妻・松乃(井上真央)と愛娘と過ごす心休まるひととき。
お互いにこれが最後かもと思いつつ、必ず帰ってくるという夫と、待つという妻。
松乃は戦中・戦後の混乱の中、一人娘を必死で育てます。
必ず帰ってくると約束をした、愛する夫を待ちわびながら・・・。
当時とほぼ同じ材料で復元されたという、ゼロ戦が見事です!
空中戦もリアルで、邦画としてはレベルの高いVFXで当時を再現しています。
岡田准一が素晴らしい!!!良い役者さんだと心から思いました。
生きることにあれほど執着した久蔵が、なぜ特攻隊員になったのか。
戦火の中、日本が追い詰められて行く中、徐々に心を蝕まれていく久蔵。
その心の移り変わりが見事でした。復興する日本を夢見ていたのに・・・。
この映画が、特攻隊を美化する話だという意見があることに驚きました。
私が感じたのは真逆のこと。決して特攻隊は美化されるものではないことでした。
当時は「お国の為に」というのが大義名分だったことでしょう。
久蔵のように、生きることを熱望していても、口にするのは非国民という風潮だったし
「お国の為」というのは洗脳に近いものがあったかもしれません。
前途有望な若者が、苦悩しながらもその道を選ばねばならなかったこと。
「お国の為に」と戦った若者たちが、今のこの日本を見たらどう思うのでしょうか。
みるみる復興し、高度成長もあって世界に肩を並べるようになった日本。
彼らが思い描いていた未来に、日本はなれたのだろうかと考えてしまいました。
戦争ほど愚かなことはないのです。勝っても負けても、心に深い傷を負います。
いまなお、世界中で戦争が途切れる日はないけれど、一番犠牲になるのは市井の人。
二度と、子供や若者が犠牲になるようなことはあってはならないのです!
わずかなシーンでしたが、松乃を演じた井上真央も良かったし、染谷将太や濱田岳
そしてベテランの橋爪功や夏八木勲が素晴らしかった!夏八木勲の遺作でもあります。
そしてやはり田中泯の存在感!とても良い映画を観せてもらいました。
サザンの曲も心に染みました。
by british-green
| 2014-03-03 21:50
| CINEMA